日本における唐木製品は古く、奈良時代に遣唐使によって持ち帰られたものの中に、日本にない珍しい木材とそれで作られた製品があり、これを「トウの木」「カラ木」と呼んだのが唐木の始まりです。
海上交通の困難を乗り越え持ち帰られたため、その量も極めて少なく、これを加工する職人も最高級の工人が、寺院や邸宅の一部、製品の部分的装飾に用いた程度でした。
江戸時代以降、幕府によって大阪が天下の台所として商業の中心になったことを境に次々と唐木の製品が一般でも出現。
唐木材は材木のうち最も硬質で、優雅で、最高級の家具調度品として広く人々に認められ価値あるものとされてきたのです。
唐の国から遣唐使によって持ち帰られた珍しい木であり、主に紫檀・黒壇・鉄刃木・花材などと呼ばれている木材のことを指す。
唐木の産地は熱帯及び亜熱帯。
熱帯雨林に産する常緑広葉樹のうち、
ごく一部の硬質材であり、
世界的にも最も良質の材が
”唐木”と呼ばれている。
材質が緻密で色艶が美しく、水分に浸されたり、
虫害を受けることが無いため、耐久性に富んでいる。
唐木によって製作された作品は、
原木製材後2〜3年の天然乾燥を行い、十分乾燥した材料を、
伝統工芸職人の高度な技術を施し、生漆を5〜6回すり込み仕上げます。
製品は手入れすればするほど深みのある独特の光沢を生じ、
古い伝統と工芸技術のもたらす精巧さが調和することで
格調高い最高の品位を持つ調度品となるのです。
木材を組み合わせて箱・家具・建具をつくることの総称。古くは家具,調度類をつくることをいいます。
指物は木工を金釘を使わずホゾなどの技法を用いて組み立てるものをいうことが多く,
木工芸のうちもっとも多用される手法であり、日本独自の技法です。
その構造の適否は作品の耐久性や美的効果に直接関係しており、
日本の生活様式に合わせて一つ一つ作られております。
指物の基礎的手法は,すでに正倉院の木工において
おおむね行われており,
その伝統が現在にも引き継がれているのです。
漆器の漆塗りとは異なり、
生地に生漆をすり込んでは拭き取りを繰り返し
生漆を染み込ませ磨き上げる
「すり拭漆仕上げ」。
木質と生漆が他では表現できない
独特な風合い、且つ美しい作品に仕上がります。
唐木製品は漆で仕上げており、年月(2〜3年)が経つと、自然と艶が増してきます。
日常のお手入れは、乾いた布で乾拭きし、汚れが目立つ場合は硬くしぼった布で拭いた後、すぐに乾拭きしてください。
化学雑巾は使用しないでください。艶落ちの原因になることがあります。
また直射日光の当たる場所には置かないでください。